2006年12月27日

「ニセモノの春」

生ぬるい風はニセモノの春の匂いだ。




ぶらりとそのバーに立ち寄ったのは、多分少しばかり思い出に浸りたかったからだ。




あのときも、珍しく暖かかった。天気予報を見て来なかった彼女は、白いコートを邪魔だと言っていた。




あのとき、彼女が表参道の小洒落たカフェに、忘れたコートを取りにもどらなかったら…



きっとそこには、チープに過ぎる感傷だが、別の人生が待っていたことは、確実だろう。



「悪いけど、先に行ってて。偶然、昔の…知り合いに遇ったから」



それきり君は、みゆき座に来なかった。




あの日、もし襟を立てるほどの冷たい風が吹いていたなら、彼女は今も僕の腕をとって歩いていた、だろうと思う。




とるにたらない些細な偶然が、人の運命を変えることはある。そんなとてつもなく月並みなことを考えながら、僕は一人で強い酒を煽った。




感傷くらい無駄な感情もないものだ。




僕はめいていしながら、今の自分がいる場所が見えなくなっていた。























大臣「秋葉原です。王様。」
posted by 何丸 at 21:04| おうさまだいじん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月26日

「クリスマスと正月の間」

「冬の雨って…冷たいだけだね」




いくらか水の染みたブーツの先を見つめて君がつぶやいた。




「クリスマスイブは楽しかったよ。これはほんと」




「じゃ、今は?」




君は答えを迷いながら、本当でも嘘でもない返事を探していた。





「あのさ、」





今年はイチョウの葉がまだ残っていた。今日の雨でかなり落ちるだろう。かなり。





「私、期待、しすぎちゃうみたい」





もし、今が、あのクリスマスイブの夜なら、僕は君の思い過ごしだと言えたはずだ。





「私、わかるの。これからどうなっちゃうか。私ね、きっとね、きっとね…」





クリスマスと正月の間のイルミネーションは、雪にならない冷たい雨がよく似合う。特別でもなんでもないこんな日に、僕は自分のしていることの意味を見失っていた。

















先生「大掃除だ、高木。」



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posted by 何丸 at 19:37| 男子高生高木伝説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月22日

「何ガールズ・ショートコント」(作品265)

「どーもー、ミシンの部品の中で『ボビン』がいちばん萌える何ガールズでーす」


「あいあい。『履いてく?靴下』が『ハイテク靴下』に聞こえてしまった何ガールズでーす」


「あいあい。わーわーゆうとりますけれども、ショートコントいかせていただきます」


『願い』

「たったひとつだけ、魔法であなたの願いをかなえてあげましょう」

「やったー!じゃあ、1つだけの願いを無限に・・・ハックション!」





「わかりました。」

「ハイ、♪なんがなんがなんがなんがなんがなんがー、なんがなんがなんがなんがー」



『十回クイズ』

「ピザって10回言ってみて」

「ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」

「じゃ、ここは?」

「ひざ」






「あ、ひざだ」

「ハイ、♪なんがなんがなんがなんがなんがなんがー、なんがなんがなんがなんがー」



『ちょいワル』

「この格好、ちょいワルっぽい?」

「キャー!」

「あ、パンツ履くの忘れてた」






「・・・ちょいワルだったわ」

「ハイ、♪なんがなんがなんがなんがなんがなんがー、なんがなんがなんがなんがー」



『屋上』

「ジブリ美術館のさあ、屋上にさあ、あれあるよね」

「あるね」





「巨神兵」

「ハイ、♪なんがなんがなんがなんがなんがなんがー、なんがなんがなんがなんがー」



『オヤジ』

「オヤジ、俺、紅白落選してしまいました」

「ジョージ・・・」

「オヤジ、俺、また一から出直します!」






「オヤジって呼ばないで、もう」

「ハイ、♪なんがなんがなんがなんがなんがなんがー、なんがなんがなんがなんがー」


「どーもー何ガールズでしたー」



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posted by 何丸 at 18:33| 何ガールズ・ショートコント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月21日

「エスピオナージ何丸」(作品264)

エージェント

 「内調(内閣情報調査室)の守屋です。尾行されずに済んだようです」



何丸

 「ああ。もっとも、ラウンジには、まだ素人っぽさが残るロシア美女がいるがね」




エージェント

 「えっ?」




何丸

 「振り向くな。つけられたのではなく、コンタクトの場所が漏れていたのだろう」




エージェント

 「では、内通者がいたと?」




何丸

 「驚くことはあるまい。私は、この世界では知られ過ぎた」




エージェント

 「では、MI6との共同プロジェクトは?」




何丸

 「ネゴシエーションは延期だ。既に隠しマイクがセットされていると考えていいだろう。冷戦が終わってもエフエズベーはよく働く」



エージェント

 「ふぅ。私には、国際レベルの諜報活動は向いていないようです」




何丸

 「最近はどこも情報技術者ばかりだよ。ところで、君もドライマティーニを飲るかい?」




エージェント

 「いただきます」




何丸

 「君、ドライマティーニをステアでなく、シェイクで。それから、向こうの美女にも同じものを」




エージェント

 「お酒を頂戴する前に、ちょっと上司に報告を入れておきます。ちょっと失礼・・・」




何丸

 「待て。今は私から離れないほうがいい。ゆっくりと外を見るふりをして窓に映った出口を見ろ。黒いコートの男が2人。頬に傷のある方は、見覚えがあるだろう」



エージェント

 「あ、ヨシフ・ニコラエビッチ・イヴァーノフ!」



何丸

 「99年の第二次チェチェン戦争時、テロリスト掃討作戦で私の指揮下に入っていた。敵にしたくない男だ」




エージェント

 「いったい、クレムリンがなぜ?」




何丸

 「狙いは、私だ。なに、ちょっとしたおイタをやらかしてね」









































エージェント

 「はい、10分経過。お疲れ様でした。レギュラーコース終了です」




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何丸

 「あ、あと10分、延長、お願いします!」
posted by 何丸 at 23:50| 単発コント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月16日

何丸☆クリスマス・フェア☆

どうも、マニュアルのミニを運転しながら

ケンタッキー6ピースを完食可能な何丸です。


ただいま、クリスマスフェアを実施中です。

クリスマスをテーマにした作品をご覧ください。



新おとぎ話「赤鼻のトナカイ」はこちら


おうさまだいじん「もうすぐクリスマス」はこちら


単発コント「いつもと違うクリスマス」はこちら


けんちゃん・しょうちゃん「サンタさんにお願い」はこちら


ランキング応援はこちら


あの一つ星は君のために。いつものやつはこの下です。

posted by 何丸 at 12:00| 番外編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月15日

「けんちゃん・しょうちゃん 〜親友〜」

けんちゃん「ねえ、しょうちゃん、大人ってずるいよね」


しょうちゃん「ずりゅい」


けんちゃん「冬休みにスキー行くって約束したのにさ、行けなくなったんだってさ」


しょうちゃん「貧乏だから?」


けんちゃん「ち、違う、とは言い切れない」

しょうちゃん「じゃ、お金あねるよ」


けんちゃん「いいよ、いらないよ」


しょうちゃん「あねる」


けんちゃん「いらないよ。親友からお金はもらえないよ」


しょうちゃん「親友?」


けんちゃん「そう。ぼくらは親友だ」















しょうちゃん「結婚すんの?」


けんちゃん「するかっ!」
posted by 何丸 at 23:14| けんちゃん・しょうちゃん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月11日

「信長と秀吉〜 下天の夢」(作品260)

信長

「サル、天守からの眺めはどうじゃ」




秀吉

「殿、試しておられるな?」




信長

「さすがはサルよ。儂がこの程度の城で得心すると思うか。何れ大陸に駒を進め、南蛮人の国をも脅かそうぞ」




秀吉

「あながち夢とも思われませぬ。天分尽きぬお方よ」




信長

「儂は欲深き男よ。征服のみが我が飽く無き願いじゃ」




秀吉

「殿…」




信長

「ここだけの話じゃが、儂はまず柴田を攻めてお市を連れ戻すつもりじゃ。征い大将軍の声もあるが、儂は太閤となり、刀狩りと検地を行い、大陸に出兵し…」




秀吉

「殿、お待ちください。今、硯と紙を持って参ります」




信長

「ところで、例の酒血肉林の宴〜ソドムとゴモラもかくあるまじき〜の場所は宜しく手配いたしたか?」




秀吉

「本能寺にて」




信長

「本能とはいいえて妙じゃ」




秀吉

「山場の趣向、あられもない姫君達と稚児どもに囲まれて、殿が裸体にて舞うという手筈、ゆめゆめお忘れなきよう」




信長

「ぬふっふっふ。わかっておる。して、宴に集める獲物どもは何人じゃ?」




秀吉

「娘二十、年増二十、蘭丸はじめ麗しき小姓十でございます」




信長
「ぬっほっほ。






































♪人間五十人〜 」 



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posted by 何丸 at 21:57| 単発コント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月09日

「殺人現場」(作品257)

刑事「お疲れ様です警部。被害者は身元を確認できるものを何も持ち合わせていませんでした」




警部「そうか。外見の特徴は?」




刑事「全身赤い毛に覆われていたようですが、全て剃られていました。現場のすぐ近くには、むしりとられたようなヘリコプターの羽がありました。これです」




警部「凄い力で引き抜かれてるな」




刑事「犯人は相当力が強く、スポーツ万能だと思われます」




警部「致命傷は?」




刑事「解剖しないと詳しいことは分かりませんが、二枚の歯のようなもので喉元を食いやぶられたようにえぐられています」




警部「目撃者は?」




刑事「緑色の影を見た、という証言がいくつかあるのみです」





















警部「お手上げだな」
posted by 何丸 at 15:22| 単発コント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月08日

「相談」(作品256)

「相談、いいかなあ?」




「恋の悩み、以外ならね」




「じゃダメじゃん」




「そういうこと」




「…結局さ、別れちゃったんだあ」




「そうか」




「私から好きって告って付き合ったのに、なんか疲れちゃって」




「そうか」




「もうしばらく誰かと付き合うの止めようかな」




「…」




「ねえ、なんかゆってよ」




「…そうか」




「そうか、ばっかりだね。いつもそう。いつもいつも。どうしてそんなにいつも優しいばっかりなんだよう(泣)!」




「…いつも残酷なヤツだな」




「うん。知ってた。ずっとずっと知ってたよ。だから、もう、今度からいじわるはしないよ」




「ありがたいね」




「だから、あなたも…いじわるしないで。あなたの優しさはいつも残酷だから」




「そうか。いじわるして悪かったな」




「妹みたいって、もうゆわないで」




「ああ。アニキみたいって、もう言うなよ」



「ゆわない」




「わかってくれて良かった…











母さん」



posted by 何丸 at 18:00| 単発コント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月07日

「ブリー・クラブ」(作品256)

スタッフ

 「いらっしゃいませ。バーチャルブリークラブ『真綿の紐』にようこそ」






 「はじめてなんですけど、どんな店なんですか?」




スタッフ

 「当店では、精神的にじわじわと相手を傷つけていくという仮想体験サービスを行っております。いかがわしいサービスをご期待しているようでしたらお引取りください」






 「どんなコースが人気ありますか?」




スタッフ

 「現在は、 『完全なるモラルハラスメント〜誰もそうとは気づかない〜』コースがナンバーワンです」






 「どんな設定ですか?」




スタッフ

 「あなたは人望があり、社内でも評判の良い中間管理職です。しかし、ご多聞にもれず板挟みの気苦労でイライラがたまっています。そこへ、根は優しいが口下手で不器用な部下が配属されてきます」






 「そそりますなあ」




スタッフ

 「でしょう。連日受け付け10分で予約が埋まってしまいます」






 「たとえば、どんなシチュエーションが?」




スタッフ

 「部下はあなたの原案で宣伝企画会議の資料をまとめてきますが、会議直前幹部の意向を察知したあなたは、部下が勝手に誤解してくだらない企画を持ち込んだ、という方向に持っていきます。部下の戸惑いと恨めしげなまなざしをご堪能ください」






 「いい。いいよ。もちろん、部下は抗議してくるんだろうね?」




スタッフ

 「はい。そこを返り討ちにして、余計無力感を煽ります。部下は、だんだん鬱状態となります」






 「よし。幾ら?」




スタッフ

 「レギュラーは3千円、スペシャルは3万円です」






 「じゃ、レギュラーで。ちなみにスペシャルとの違いは?」




スタッフ

 「レギュラーですと、































その部下が実は社長の隠し子だった、というオチがつきます」






 「・・・スペシャルで」


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posted by 何丸 at 23:52| 単発コント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「遺言」(作品255)

よしお、母さんじゃないほうの父さんだ。

じつには、あ、じつにはと書いてしまった。

じつは、驚きのあまりびっくりするかもしれないが、

父さんは・・・あまり長くない。







今日、病院へ行って身体測定をしたら、

医者から告知されてしまった。

最近の医学の進歩には、おノロケばかりだ。




そこで、私の正統なる後継者であり、

三男であり、

私が五番か六番目に愛した家族であるお前だけに、

こうして遺言を書いている。



もしかして、

文におかしなところがあるかもしれないが

コピペしたせいだ。

私の気持ちは、

受け取れたはずだ、たけし。

長男のお前だけが生き甲斐だったよ。


さて、よしお。

お前には、まず、父さん、車をあげよう。

平成元年式トヨタクラウンロイヤルサルーンG、

V8・4000CC改、ローダウン・BBSホイールだ。

いきなりクラウンだ。

毎月5日には、クラウンに乗ってくれ。

「いつかはクラウン」

はっはっは。

形見だと思って大切に

一生乗って欲しい。

車検は毎年だ。





それから、写真集コレクションだが、

MEGUMI、サトエリなどイエローキャブシリーズと

西川峰子はお前にやるから、

アグネス・ラムは棺に入れて欲しい。





最後に、父としての役割を、

8割くらいしか果たせなかったことを

謝りたい。




これから先、

もしも行きづまったときは、

このことを思い出して欲しい。













人生に大切なことは、

たいていR25に書いてある。





アディオス。


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posted by 何丸 at 10:46| 独演系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月06日

「大江戸事件帖」(作品254)

第一報は小石川療養所の安西にもたらされた。



紀井様の江戸屋敷にほど近い堀端に、

指物師見習い、房州は酒々井村、寺男の次男馬助が

哀れな姿で見つかったのは明けの六ツを過ぎた頃である。



奉行所への通報もなしに、

いきなり安西の元に知らせが来たのは、

今にして思えば因縁であったと言えるだろう。



師走の朝霜をガリガリと踏みつけながら

療養所の木戸をようやく 

くぐって通報に駆け付けた男は、

年の頃なら十七、八。



武士とは見えぬが、

上背のある筋骨逞しい若者であった。



若者は、起きぬけの安西に挨拶もそこそこに、

がっくりと肩を落としてこう言った。



















安西先生、馬助(ばすけ)が…





やっぱやーめた。



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posted by 何丸 at 22:09| 単発コント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月05日

「赤鼻のトナカイ」(作品252)





あるところに、赤鼻のトナカイがいました。


「やーい、やーい、赤鼻のトナカイやーい!」


トナカイは、いつもからかわれていました。


「このトナカイは、おとなかい?」


トナカイは、たまにダジャレのタネにつかわれました。


トナカイは、そのたびに抗議(こうぎ)しました。



















「や、やめてください・・・・・・・・サンタさん」


こういう上司のイジメを「パワーハラスメント」といいます。




トナカイの仕事は、子どもたちに、プレゼントを配ることです。


いえ、正確に言うと、


プレゼントを配るサンタさんと


プレゼントをのせたソリをひっぱるのです。


とてもやりがいのある仕事のようですが、


じつは、問題がありました。


ひとつめは、世界中の子どもにプレゼントを配ること、


ふたつめは、世界中でプレゼントを配る子どもが


ぜんぶで10億人くらいいるということ。


みっつめは、クリスマスイブの


10時間以内に配らなくてはならないこと。


よっつめは、つまり、


1時間で1億個のプレゼントを配ること。


いつつめは、つまり、1分で約167万個、


1秒で約2万8千個を配らなくてはならないこと。


むっつめは、10億個のプレゼントの重さが、


1つ平均500グラムとして、5億キログラム、


すなわち50万トンであること。


ななつめは、サンタさんが太りすぎで


体重が120キロもあること。


やっつめは、そんな大変な仕事をしているにもかかわらず、


給料が出ないこと。


ここのつめは、


「ココナッツめ!」に似ているということ。





こんな劣悪(れつあく)な職場がほかにあるでしょうか?


トナカイは、ついにクリスマス間近になって逆ギレしました。


「あのね、サンタさん!


ぼくは、すごく大変な思いをして毎年がんばっているんです!


だから、ぼくをからかうのはやめてください!」


サンタさんは、びっくりしました。


そして、トナカイにこういいました。


♪暗い夜道は


♪ぴかぴかの


♪お前の鼻じゃ


♪役立たない


トナカイは、クビになりました。


こういうのを「リストラ」といいます。



サンタさんは、かわりに、


最新鋭のマシンを三菱重工に注文しました。


トナカイは、ようやくつらいボランティア活動から解放されました。


でも、ちょっとさびしい気持ちもありました。


子どもたちの喜ぶ顔が見られなくなったからです。


「今ごろ、子どもたちは、どうしているかな」


トナカイがそう思いながら黒豆ココアを飲んでいると、


突然上空にサンタさんが現れて、こう言いました。






「このマシンは、うるさすぎて子どもが起きちまう!


たのむ、てつだってくれ!お前しかいない!」






「お前しかいない」





そのことばが、トナカイをふるいたたせました。


トナカイは、おもいっきり地面をけると、


さっそうとクリスマスイブの夜空をかけめぐりました。


珠(たま)のような汗をしたたらせるトナカイに、


サンタさんが、声をかけました。







「トナカイや、ありがとうな」






トナカイは、ちょっと感動しました。


サンタさんは、続けてこういいました。







「ところで、トナカイは、おとなかい?」







静かな雪のふるクリスマスの夜空。


重力加速度9.8m/秒2で速度を増しながら、


秒速30メートルでサンタさんは落下していました。


(おわり)
posted by 何丸 at 16:50| 新おとぎ話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月04日

「ガリレオ・クラブ」(作品251)

主 宰

 「今宵のガリレオクラブ、如何だったでしょうか。さて、最後に新規入会者の審査を賢明なる諸君に委ねようと思います。お手元の資料をご覧あれ。拍手多数をもって入会と致します」



会 員

 「パチパチパチパチ」




主 宰

 「では、高校の数学教師である、佐藤聡子氏は?」



会 員

 「パチパチパチパチ」



主 宰

 「入会を認めます。では、地球物理学が専門の助教授、高田孝氏は?」



会 員

 「パチパチパチパチ」



主 宰

 「入会を認めます。では、アマチュア天文家、スティーブ・スティーブンソン氏は?」



会 員

 「パチパチパチパチ」



主 宰

 「入会を認めます。では最後に、ノーベル物理学賞にもっとも近いと噂される現代のキュリー夫人、吉田洋子氏は?」



会 員

 「…」



主 宰

 「あー、残念でした吉田さん。












よし子、なら良かったんですけどね」






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posted by 何丸 at 09:33| 単発コント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月03日

「おうさまだいじん 〜もうすぐクリスマス〜」(作品250)


王 様

 「ねえ、だいじーん」




大 臣

 「はい、何でしょう、王様」




王 様

 「あのさ、今年のクリスマスはさ、わしがサンタさん、やろうかな」




大 臣

 「なるほど、子どもたちが喜びますな」




王 様

 「うーんと、子どもはさ、・・・なし」




大 臣

 「は?仰せの意味が獲得できない戸惑いで胸が苦しゅう御座います」




王 様

 「この国に住まう18歳以上24歳未満の女性の中から厳重な審査に通過した幸運なレディに、プレゼントをお届けさ!」




大 臣

 「・・・暗君。」




王 様

 「じゃ、決定ってことで」




大 臣

 「お待ちください、王様。そのような女性というものは、大半がクリスマス前に、こう言っては何ですが・・・売れちゃっております」




王 様

 「どゆこと?」




大 臣

 「王様、妙齢の女性といいますものは、クリスマスに獲得に乗り出すのではなく、クリスマスのために前々から周到なる準備と努力によって獲得するもので御座います」




王 様

 「じゃ、タイミングが遅いってこと?」




大 臣

 「遅いどころか、最悪で御座います。今日の夕方ヨドバシにWiiを買いに行くようなもので御座います」




王 様

 「うそ!」




大 臣

 「金曜の夕方トイざラスに任天堂DSライトのホワイトパールを買いに行くようなものです」




王 様

 「うそ!」




大 臣

 「日曜の夕方イトーヨーカドーにPS3を買いに行くようなものなので御座いますぞっ!!」




王 様

 「うそっ!」




大 臣

 「他の者は、皆、前もって用意周到に取りかかっているので御座います。王様、これらを踏まえた上で、どうなされますか?」

















































王 様 

 「まずは、ヤフオクでチェック」




大 臣

 「どうぞどうぞ」


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posted by 何丸 at 11:55| おうさまだいじん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月02日

「いつもと違うクリスマス」(作品248)

「もうすぐクリスマスだね」




「そっか。早いな」




「今年は誰と過ごすの?」




「ん?いつも同じさ。家族。シャンメリーで乾杯して、ケンタのバーレルと不二家のケーキ食って終わり」




「そっか。今年はさ・・・あのさ・・・おうちでチキンとかじゃなくってさ、ちょっと変えない?」




「どう?」




「いつもと違うクリスマスにしない?ってこと」




「・・・でも、ケンタッキーはけっこう好きなんだ」




「違うよ、ケンタッキーのことじゃないよ」




「あ!そうか。・・・でも・・・俺、やっぱ・・・ゴメン」




「そっか。やっぱ物足りない?」




「うん」




「ずいぶんストレートなんだね」




「ケーキったら不二家なんだよね」




「・・・ちがーう!!!食べ物のことじゃないよ!」

































「シャンメリーかよ」




「飲み物でもなーい!」



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posted by 何丸 at 23:48| 単発コント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月01日

「ボートブリッジシティの思い出」(作品247)

ボートブリッジシティは東部の住みやすい街だ。

僕はよく日本車に乗って、ステーションの南側にあるウエスタンデパートメントに出かけては、ティールームでクセのあるアールグレイをすすりながら、『キャッチ・イン・ザライ』(サリンジャー)や『ノイズィー・ピープル』(ルミコ・タカハシ)などを読んで時間を過ごした。


少し車を走らせれば、ベイサイドから海を眺めることができた。サンセットを眺めながら、皺を刻んだフィッシャーマンが網を繕う様子を飽きずに眺めていたりした。


大きなショッピングモールができ、地元のハイスクールはスポーツで有名になったが、ベイサイドのサンセットはいつも変わらなかった。


僕は日本のカレッジに進むことになり、ボートブリッジシティを離れたが、時折あの街が懐かしくなっていた。

この夏、ダディとママに会うため、僕はビジネスの合間を縫ってボートブリッジシティを訪れた。


ママのお手製のキャベッジシュリンプミートパイを食べていると、遠くから懐かしいカントリーが聞こえてきた。









♪船橋よいとこ、そーれそれそれよいとこしゃんしゃん
posted by 何丸 at 23:45| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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